| 弁護士 |
定年後に事業ですか。何をやるかは分かりませんが、財産はつぎ込みますね。 |
| 岡野 |
この夫は子どもや両親の世話など、家庭のことをすべて妻にやらせておいて、定年後は愛人をパートナーに事業だなんて、妻をないがしろにするのもいい加減にしろと言いたいですね。 |
| 弁護士 |
もし事業が傾いて、その時点で離婚といっても、夫が無一文なら、相談者は何も受け取れません。 |
| 岡野 |
このままいけば相談者は、退職金と年金で安定した老後を送れるわけですから、心配でしょうね。 |
| 弁護士 |
まず、ご質問の愛人に対する損害賠償の件から言いますと、訴える側(相談者)の生活レベルにもよりますが、300万から1,000万円の範囲で請求できるでしょう。ただ、愛人は夫に相談するでしょうから、波風は立つでしょうね。これは、相談者の夫に対する精神的・経済的依存など、力関係をふまえての予想ですが、夫から精神的な虐待や生活費の差し止めなど、報復の可能性もあります。 |
| 岡野 |
そういうケースは多いですね。一昔前なら愛人を持ち、家庭にもきちんと生活費を入れ、女房、愛人双方ともに何不自由なく養う。こういう男は甲斐性のある立派な男と言われたのでしょうが……。でも、今は経営そのものが難しい時代。この先うまくいくのかは何の保証もありません。 |
| 弁護士 |
夫が定年になれば、当然収入はなくなりますし、子どもたちは独立しているので、相談者が暮らせる最低限の生活費しかよこさない可能性も大です。そんなことがあってはたまらないのですが・・・。こんな風に中途半端なまま、今の生活を続けていく方が幸せなのか、もう一度じっくり考えるべきです。 |
| 岡野 |
相談者は、「愛人も結婚を望んでいないようです」と言っていますが、それもどうでしょうか? 妻の座を狙っているのかも知れませんよ。今の状況は、「生活費はこのままで、愛人から損害賠償の請求を」、などと言っている場合ではありません。早急に自分の老後に不安のないよう、取れるものは取る! その準備をした方がいいですね。 |
| 弁護士 |
そう、まずお金の確保です。このまま結婚生活にしがみつくのではなく、夫に離婚を求め、慰謝料、財産分与、そして、夫と愛人双方に損害賠償の請求をした方が良いと僕は思います。 |
| 岡野 |
私の考えはちょっと違うんです。文面から見ると、相談者は夫にスキンシップを求めるなど、気持ちの上でまだ愛情を強く求めているようだし、別れることは考えていないと思うんです。これまで夫の浮気を我慢しながら、子育て、両親の世話を一生懸命やってきて、「さあ、これから」という時に、「どうして離婚しなければ・・・」という気持ちでは。 |
| 弁護士 |
しかし、夫は、定年後の第二の人生のパートナーに愛人を選んだんですよ。相談者は現実を直視したくないのでしょうが・・・。僕はすでに、夫婦関係は終わっていると思うけどなあ。 |
| 岡野 |
でもね、例え世間の相場の慰謝料、財産分与を受けても、「これまで何のために自分は一生懸命頑張ってきたのか?」と考えると、50歳を過ぎてから、妻という座を捨てるのは、辛いんですよ。それに、「夫と愛人が大儲けでもしたら」なんて考えると、「絶対別れたくない!」って思うんです。 |
| 弁護士 |
うーん、そういうもんですか・・・(苦笑)。 |
| 岡野 |
夫が事業を始める前に、不動産や貯金など、財産の半分を相談者名義にしてもらったらと思うんです。まず、現金、不動産の権利書、保険証券などをしっかり持っておくこと。もし夫に取り上げられても、詳細が分かっていれば、後で主張できますから。夫が財産を分けないと言うなら、弁護士先生が言うように、離婚請求をすればいいのでは? |
| 弁護士 |
ただ心配なのは、相談者の気持ちがすごく弱いことです。今のような気持ちでは、財産分けどころか、何も言えないうちに財産が事業につぎ込まれてしまう危険性が大いにあります。 |
| 岡野 |
そうですね。この相談者に必要なのは、行動を起こす勇気です。
これまで育児、家事など、家庭のために頑張ってきた自分の人生に自信を持ちながら、淋しい胸のうちを夫にぶつけてみたらどうでしょう。夫が相談者の元へ戻らないなら、財産の名義変更や離婚請求の件を切り出す。
まずは、一歩踏み出すことが大事ですよ。 |
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