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法律知識

1. 協議離婚

(1)協議離婚の流れ

離婚の話し合い

協議が成立

離婚届を記入・作成

市区町村役所へ提出
(創設的届出)

受理

離婚成立(この日に離婚成立)
・戸籍に離婚の記載
【民法763条】夫婦はその協議で離婚することができる
協議離婚とは、夫婦が協議して、つまり話し合って離婚を決めることです。 離婚について夫婦が「合意」すれば、それがいかなる理由であっても問題ありません。 裁判離婚のような法律で定める「一定の事由」がある必要は全くないのです。 離婚届の用紙は夫婦二人の署名・押印と、満20歳以上の成人2人が証人として署名・押印することになっています。 通常、夫または妻の両親、離婚の協議に関与した友人、双方の弁護士などが証人になります。

(2)離婚に関する合意書(離婚協議書)─ 取り決め事項

話し合いの結果、協議離婚することになったら、必ず合意の内容を書面化しておくことをお勧めします。

<取り決め事項>

◇ 協議離婚すること
◇ 財産分与
◇ 慰謝料
◇ 養育費
◇ 子供の親権者の決定
◇ 子供の監護者の決定 (親権者でない方の親が子どもを引き取る場合のみ)
◇ 面接交渉権
◇ 戸籍筆頭者でない者の離婚後の氏の変更・不変更(相手の同意は不要)
◇ 離婚届提出日、どちらが提出するか
あとで、そんな約束をした覚えはない、というトラブルにならないようにしたいものです。
もし、この約束が守られなかった場合、「離婚に関する合意書」には法的な執行力はありません。 お金に関する事項が含まれている場合には (3)の「強制執行認諾約款付きの公正証書」を作成しておくべきでしょう。

(3)公正証書(強制執行認諾約款付き)の重要性

強制執行認諾約款付き公正証書は、離婚時に取り決められた慰謝料・財産分与・養育費が約束通り支払われない場合に、裁判を起こさなくても法的に給料などの相手方の資産を差し押さえる、つまり強制執行ができるというものです。 条項が記載された最後に、「債務者は本契約上の債務を履行しなかったときは、直ちに強制執行を受くべき事を認諾する」 という一条項が明記されています。この一条項が記載されていない公正証書には、強制執行力はありません。 この公正証書は、全国にある公証人役場で作成してくれます。支払う者・支払いを受ける者の2人が次のものを持って公証人役場に行きます。

<公正証書作成に必要な物>

◇ 身分を証明できるもの(運転免許証・パスポートなど)
◇ 各人の印鑑証明書
◇ 各人の実印
離婚協議書、私製契約書を持参してもいいですし、メモや口頭で説明しても構いません。 原則は当事者が公証人役場に行かなければなりませんが、代理人を立てることも可能です。代理人は下記のものを持参します。

<代理人が公正証書作成に必要な物>

◇ 本人からの公正証書の内容となる条項を記載した委任状(代理委任状)
※「執行認諾条項付公正証書を作成する権限を委任する」と記載し、本人の実印を押捺する。
◇ 本人の印鑑証明書
◇ 代理人の印鑑証明書
◇ 代理人の実印(本人の実印は要りません)
◇ 自動車運転免許証・パスポートなど本人を証明する官公署発行の写真入り身分証明書
※公証人・公証役場とは 30年以上の実務経験を有する法律家の中から法務大臣が任命する公務員が公証人です。 通常裁判官は定年が65歳ですが、公証人は70歳まで勤務できるため退職した裁判官などが就くことが多いです。 公証役場は全国に約300ヶ所設置されています。 指定された地域に公証人が自分で公証役場を開きます。普通公務員は国から俸給をもらっていますが、依頼人から受取る手数料が公証人の収入源となっています。

(4)離婚協議書記載の中で無効になるもの

離婚協議書記載の中で、違法な合意内容に当たるものについては無効とされます。以下のものがそれに該当するものです。

<離婚協議書記載の中で無効になるもの>

◇ 子の養育費請求権の一切の拒否
◇ 面接交渉権放棄
◇ 親権者変更の申立てをしない
◇ 子が一定の年齢に達した後は、親権者を変更する
◇ 離婚後、婚姻中の姓を使用しない
◇ 違法な高率の延滞金利
◇ 財産分与・慰謝料等の分割払いを20~30年という長期分割払いとする
例えば、離婚協議書に「養育費を請求しない代わりに、交換条件として相手には二度と子供に会わせない」と、記載されたとします。これは「子の養育費請求権の放棄」と「面接交渉権放棄」ですが、これらの合意は不適法な合意とされ一般的には効力はないとされます。養育費は子の権利であり、親が勝手に放棄することは違法であり許されません。 但し、一時金として養育費を受け取り、これ以上請求はしません、という約束の場合は義務者同士の義務負担の方法についての取り決め、とみることも出来一概に無効とすることもできない、という判例もあります。

(5)離婚届不受理申出と手続き

合意なしに、相手が勝手に離婚届を出してしまう不安があるようでしたら、役所に離婚届の不受理申出書を出しておきます。これを出しておけば、相手が勝手に離婚届を出そうとしても、役所では不受理申出書が出されていることを理由に、離婚届を受理しません。 不受理申出書の効力は6ヶ月間です。6ヶ月経過したら、改めて不受理申出書を出さなければなりません。なお、この不受理申出書はいつでも不受理申出取下書を出すことによって撤回することができます。 用紙は役所に備えてあります。必要事項を記入して署名・押印し、夫婦の本籍地、または夫婦の住所のある役所に提出します。住所とは、住民票のある場所だけではなく一時滞在している先でもオーケーです。本籍地以外で不受理申出書を提出した場合でも、本籍地へ連絡がいくようになっています。 不受理申出書を提出した後、離婚届を提出する場合は、不受理申出取下書を提出してからでないと受理されません。

(6)協議離婚取消しの期間制限

暴力や脅迫、または詐欺によって離婚届に署名・押印したものが提出されて離婚が成立してしまったら、協議離婚取消しの申立てを家庭裁判所にします。この離婚届は偽造ではないので、離婚無効とは異なり一旦は有効に離婚が成立したことになります。しかし、本人の意思に反するものだったので、まずは有効に成立した離婚の取消しを求める調停を申し立て、協議離婚取消しについて合意ができれば「合意に相当する審判」を受けます。 協議離婚取消しについて合意ができなときは、調停は不成立で終了し、取消請求の訴訟を提起しなければなりません。 その手続きを行うには期間の制限があります。この詐欺の事実を発見したときから、3ヶ月を経過したときには取消権は消滅します。この取消権は本人だけにあり、第三者が取り消すことはできません。
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