| 岡野 |
相談者の夫は本当に相手の女性と関係がなかったんでしょうか? |
| 弁護士 |
あったに決まってますよ! 何もなかったら、男は毅然として警察に行きます。行ってないってことが、まあ、肉体関係があったということですかね(苦笑)。 |
| 岡野 |
相談者は夫の潔白を信じていますが・・・。 |
| 弁護士 |
まあ、妻としては惨めになるし、信じたくないでしょうね。悪徳商法にひっかかった時と同じ心理です。うそであって欲しいというところでしょう。
以前担当したケースですが、「絶対に自分の子ではないから訴えたい」という依頼があり、裁判所に父子関係不存在確認の調停審判を求めたのです。審判ではDNA鑑定が行われるのですが、「99.983%の確率で父子」と、はっきり数字が出るんです。「残りの0.017%にかけますか?」と、依頼者に訊ねましたが、やはり最後は関係を認めましたね。 |
| 岡野 |
はあー、そこまで出るんですか・・・(感心)。
気になるのは、この女性はフィリピンパブに勤めていますよね。例えばパブのオーナーがやくざだとしたら、女性に「あなたの子だ」と言わせて、お金を巻き上げる目的で、写真や手紙を送らせたということも考えられるのでは? |
| 弁護士 |
男が出てくるようならば、美人局ということもありますが、今のところ男の影はないようですし、可能性は低い気がします。 |
| 岡野 |
では、夫が女性と関係を結ぶ際に「避妊をしている」と確認していたのに、妊娠した場合はどうでしょう?「あなたの子どもだから」と言われても、だまされたとか、詐欺ということにならないのですか? |
| 弁護士 |
日本の法律では、認知という制度は子どもの福祉のためにあるのです。あくまでも子どもの幸福のためなので、親同士がだましたとか、だまされたとかは関係ないのです。 |
| 岡野 |
でもほかに男がいる可能性もあり、必ずしも相談者の夫がクロとは限らないのでは。 |
| 弁護士 |
うーん、本当に肉体関係がないなら、強く出てもいいのですが・・・。
相手の女性は金品を要求しているんだから、恐喝罪で警察に訴えればいい。でも関係があって、相手から訴えられ、裁判で認知が確定することになると・・・いろいろ大変です。 |
| 岡野 |
どうなるのですか? |
| 弁護士 |
普通は認知請求と養育費請求は同時にするものですから、裁判が確定すれば、まず、子が成人するまで養育費の支払いですね。
このケースの場合は夫が死んだ後は、相談者とその子どもが共に相続人となります。この場合は、非嫡出子になるので、相続は嫡出子の二分の一です。養育費は原則として相続しませんが、養育費が確定している場合は金銭債権になり、相談者は相続放棄をしない限り、相続人として支払わなければなりません。 |
| 岡野 |
厳しいですね。認知を拒否するわけにはいかないのですか? |
| 弁護士 |
裁判で確定するのを強制認知と言いまして、その際、夫の戸籍欄に○年○月○日認知の旨が記載されます。 |
| 岡野 |
法律は弱い立場にいる人を守るシステムということですね。
このケースの場合、裁判になったら認知まで進む可能性が強いとなると、相談者はこの女性との事実関係を夫にはっきり確かめた方がいいですね。 |
| 弁護士 |
気をつけたいのは、男は身に覚えがあっても、妻に追いつめられると、最初に話したケースのように「他の男の可能性も」と、一縷の望みをかけて、裁判に突っ走りがちです。裁判で父子関係の確認をしてもいいのですが、示談にする方法もあります。当事者間で話し合って、養育費や財産分けなどを話し合いで決めるのです。言葉の問題もあるので、きちんと弁護士を立てて、あとあと困らないよう示談書を作成してもらった方がいいですね。 |
| 岡野 |
話し合いも弁護士に任せた方がいいかもしれませんね。フィリピンでは月々3万円もあれば、一生困らないで暮らせると聞きます。相手が満足する慰謝料を払えば認知せずに解決するかもしれませんね。 |
| 弁護士 |
そうですね。 |
| 岡野 |
相談者は夫に裏切られた気分でしょうが、ここはおたおたせずに、一発お灸を据えた方がいい。あちらに送る養育費分、夫の小遣いを減らしちゃうとか(笑)。
うちの女房には一生頭が上がらないと思わせなきゃ損です。災い転じて福としてください。 |
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