岡野あつこの離婚相談救急隊®︎

夫の暴言/言葉の暴力に悩んでいます。家族・夫婦関係を修復したい

家の中で言われたひと言が、夜になっても心から離れない——それが夫の暴言で、侮辱や否定が何度も続くなら、モラハラの状態に近いと言えます。夫の暴言(言葉の暴力)に触れると、自分を責めてしまいがちですが、関係をやり直すにしても、将来離婚を考えるにしても、あなた一人が悪いと抱え込むだけでは前に進めません。

まずは、安心して休める環境を作りましょう。次に、夫の暴言の背景やパターンを知り、対処法・境界線の伝え方・記録の残し方を押さえることが大切です。
小さな一歩で大丈夫。今日できることから整えていけば、明日に向かう道は必ず見えてきます。

言葉が胸に刺さる日々——夫の暴言に疲れたあなたへ

玄関の前で深呼吸してから鍵を回す。帰宅が怖い——そのひと言が出るかもしれないと思うだけで、胸がきゅっと縮む。昨日の言葉が頭の中で何度も再生されて眠れない。「あの場面で言い返せばよかったのかも」——夫の暴言 忘れられないまま、朝が来る。

それはあなたの弱さではありません。刺さる言葉に体が反応し、心が危険を覚えているサインです。食欲が落ちる、些細な物音にびくっとする、何度もスマホを確認してしまう——そんな変化は自然な防衛反応。夜中に「旦那の暴言に疲れた」と検索してしまう自分を、どうか責めないでください。

ここでの「理解」は、許すことではありません。繰り返される言葉のパターンを理解するのは、対処の地図を描くためです。まずは安全を確保し、心拍を落ち着かせ、事実を静かに記録する。短くていいから境界線を伝え、必要なら第三者の助けを借りる——次のセクションで、今日からできる小さな一歩を具体的に示します。あなたの歩幅で、ここから整えていきましょう。

相談内容

夫の暴言に悩む女性からの相談①

結婚生活27年になります。夫は、ストレスが溜まると爆発し、ひどい暴言や軽い暴力があります。

ここ数日夫から、話が面白くない、今までこっちばかり我慢してきたからこれ以上一緒にいても未来がみえない、もう好きじゃないから出ていけと冷静に言われました。

私も夫に暴言は悪いことだと非難してきました。今まで夫を大事に出来ていないのは事実です。

日を改めて夫に感謝の気持ちを伝えましたが、夫からもうそういった言葉は不要だと言われました。今までの夫の暴言もあり、私自身、気持ちが離れてると感じていました。しかし、離婚ではなく夫婦関係の修復を目指したいです。

今までの対応を改め、夫婦関係の修復を目指すために、私は何をすべきでしょうか?

回答①

「好きじゃない」などと冷静に突きつけられるのは、とてもつらいことだったと思います。これまでご主人からの暴言や暴力もあり、関係が少しずつ遠ざかってきた背景は致し方ないと思います。

今は修復のために一層難しい段階に入っていることがわかります。

しかし、ご主人が「自分は我慢している」と口にされたことは、逆に言えば夫婦関係を見直す余地がまだ残っているサインでもあります。その思いをどう受けとめ、どのように対応していくかが今後の大きな分かれ道になります。

修復を目指すのか、新しい道を選ぶのか。その判断も含めて、今は専門家と共に整理していくことが何より大切です。どうか一人で抱え込まず、一歩を踏み出してみてください。

夫からは暴言、子供からは反抗……相談内容②

家の中で笑えなくなりました。旦那からはチクチク言葉、暴言を言われ、子どもたちからは反抗されて、家にいるのが嫌になります。どうしたら笑えるようになりますか。

回答②

旦那からのチクチク言葉、暴言っていうものの原因をつかむ。もしかしたら“引っ張り”(リードすること)が足りないのかもしれない。もし専業主婦だったら、サービス業を始めたぐらいの勢いで、旦那からチクチク言われないようにやってみるのも大事なこと。

私が今、相談を受けている人もこういう状況で、夫は夫で不満が出ちゃうわけだから、その不満をなるべく解消するべく傾向と対策ですよ。

つまり、いちいち細かいことを言う傾向に対して、対策を練る。細かい人にでも対応できるように掃除をする、家事を整えるとか、そんなことからやってみるのもいいと思います。

そして、「反抗されている」っていうところ。うるさいことを言わない。宿題もやらないで学校で怒られるわけだから、そこはお母さんが怒るんじゃなくて、学校で怒られる経験をさせる。

「宿題やってません。勉強できません。怒られました」——そのときにお母さんが相談に乗ってあげる。「ゲーム時間、減らしたらどうかな?」みたいに。一度“頭を打たせて”、戻ってこさせないと、子どもはなかなかうまくいきません。

夫の暴言――よくある言葉20選とその心理構造

「夫の暴言 忘れられない」ほど胸に残る言葉には、相手を黙らせ、罪悪感や恐怖でコントロールする心理的な仕組みがあります。ここでは夫の暴言を4パターンに分け、各例ごとに「典型セリフ」と「心理の背景」を簡潔に示します。

人格否定(自己評価を下げて反論力を奪う)

  • 典型セリフ:「何をやってもダメだな」
    心理の背景:全否定で“努力しても無駄”と感じさせ、主導権を握る。
  • 典型セリフ:「本当に使えないやつだ」
    心理の背景:能力のレッテル貼りで萎縮させ、従属を強める。
  • 典型セリフ:「頭悪いんじゃないの?」
    心理の背景:判断力を否定し、相手の意思決定を委縮させる。
  • 典型セリフ:「お前に価値はない」
    心理の背景:存在価値の攻撃で離れにくくさせる依存を作る。
  • 典型セリフ:「誰がそんなお前を愛すと思う?」
    心理の背景:孤立不安を煽り、“他に居場所がない”と思わせる。

責任転嫁/罪悪感植え付け(問題の元凶を相手にすり替える)

  • 典型セリフ:「全部お前のせいだ」
    心理の背景:因果関係をねじ曲げ、罪悪感で支配する。
  • 典型セリフ:「俺が怒るのはお前が挑発するから」
    心理の背景:加害の責任を被害者に転嫁し、反論を封じる。
  • 典型セリフ:「家がうまくいかないのはお前が至らないから」
    心理の背景:複雑な問題を相手の欠点に単純化して押し付ける。
  • 典型セリフ:「俺が疲れてるのを理解しないのが悪い」
    心理の背景:状況要因を盾にし、配慮要求を一方的に正当化。
  • 典型セリフ:「お前が変われば全部解決する」
    心理の背景:改善責任を片側に集中させ、支配構造を固定。

行動制限・監視(自由とつながりを削って孤立させる)

  • 典型セリフ:「どこ行ってた?誰といた?」
    心理の背景:逐一詰問で“常時監視”を内面化させる。
  • 典型セリフ:「出かける前は俺の許可を取れ」
    心理の背景:外出に許可制を敷き、主導権を恒常化。
  • 典型セリフ:「あの友達と会うのは禁止」
    心理の背景:相談相手を断ち、孤立させることで従わせる。
  • 典型セリフ:「位置情報を共有しろ、スマホを見せろ」
    心理の背景:プライバシー侵食で境界線を曖昧化。
  • 典型セリフ:「飲み会は全部断れ」
    心理の背景:楽しみと外部接点を奪い、生活の幅を狭める。

経済的・立場的優位(お金や肩書で上下を固定する)

  • 典型セリフ:「誰の金で暮らしてると思ってる?」
    心理の背景:収入を盾に発言権・決定権の独占を正当化。
  • 典型セリフ:「稼ぎが悪いのはお前の努力不足」
    心理の背景:経済状況を人格に結びつけて劣等感を強化。
  • 典型セリフ:「小遣いは半分。レシートは全部提出」
    心理の背景:細かな金銭統制で自律性を削る。
  • 典型セリフ:「家の名義もカードも俺だ、従え」
    心理の背景:資産・契約の支配で逃げにくさを作る。

典型セリフ:「俺の立場(仕事・肩書)を考えろ」
心理の背景:社会的評価を振りかざし沈黙を強要。

旦那の暴言が続くと出る“心・体・思考・行動”のサイン

旦那の暴言が続くと出るストレス症状「心のサイン」

不安・抑うつ・怒りの爆発と虚無の反復、自己否定の増加、楽しみの喪失、対人回避。「夫の暴言 忘れられない」状態で感情の波が大きくなる。

旦那の暴言が続くと出るストレス症状「体のサイン」

不眠・中途覚醒・悪夢、動悸・頭痛・胃痛・食欲低下/過食、肩こり・全身疲労、過敏性腸症状などの不調。

旦那の暴言が続くと出るストレス症状「思考のサイン」

反芻思考(同じ場面が何度も再生)、決めつけ思考(自分が悪いに違いない)、注意散漫、将来予測の悲観化、「正常な判断ができていないかも」という自己疑念。

旦那の暴言が続くと出るストレス症状「行動のサイン」

スマホ・通知の過剰確認、予定や交友の縮小、仕事・家事の効率低下、過剰な迎合(地雷回避行動)、アルコールや甘いものへの一時的依存の増加。

これらは“弱さ”ではなくストレス反応です。安全の確保→記録→短文での境界線→必要に応じて第三者の力、の順で対処の地図に沿ってケアしていきましょう。

夫の言い方がきつくなる背景を少し客観視

背景を理解するのは、許すためではなく、相手の行動を正当化するものでもなく、これ以上あなたが傷つかない道を選ぶための材料集めです。

「なぜ彼はそうなるのか?」を眺めてみると、対処の順番が見えてきます。

よくある背景

  • 未処理のストレス:仕事・金銭・親族トラブル等。外で溜めた苛立ちを家庭内で放つ“置き換え”によるもの。
  • 感情の語彙が乏しい:悲しみや不安をうまく言えず、怒り一色で表現してしまう。
  • 学習された対話様式:実家が“怒鳴れば通る”文化だった/家庭内ロールモデルが攻撃的。
  • 支配と不安の循環:劣等感や見捨てられ不安→優位に立とうとする→侮辱や命令調になる。
  • 刺激物・体調の影響:飲酒後・睡眠不足・血糖低下で抑制がゆるむ。
  • 未治療の症状:うつ・不安・発達特性・依存傾向など、治療で改善の余地があるケース。
  • 役割期待のズレ(“引っ張り”不足の解釈が絡むことも):「旦那からのチクチク言葉・暴言」の裏に、家事・段取り・生活面で“もっとリードしてほしい”という拙い要求が混ざることがあります。

相手の中に、仕事の疲れ、未消化の怒り、幼いころからの習慣、いろいろな要素が折り重なっているかもしれません。
ただし、侮辱や継続的な否定は“関係を壊す行為”で、決して許されることではありません。


「正しい/間違い」より先に、「繰り返されると言葉は暴力になる」という事実を置きます。
あなたの感じている痛みは、たしかな現実です。

夫の暴言に対する具体策

夫の暴言に対して反論するのは相手をエスカレートさせるだけです。
あなたへの負担をさらに大きくすることになります。

引き金(小さな不一致・疲労)

よくあるサイン

  • 相手:短い返事、無表情、皮肉、ため息前の沈黙
  • 自分:胸のざわつき、言い返したくなる衝動、肩に力が入る

この段階でやること

  • 水を一口飲む
  • 深呼吸をする
  • 話題を一時停止:「続きは夕食後に3分だけ話そう?」「いま少し疲れてる。5分後に落ち着いてから話したい」と時間をずらす提案をする。
  • 要点を1つに絞って伝える(複数の不満を束ねない)。

やらないこと

  • 皮肉返しをする。説教モードに入ること。過去の話を持ち出すこと。

緊張上昇(声量・早口・ため息)

よくあるサイン

  • 相手:声量が大きくなる。早口、食い気味、ため息・舌打ち、距離が近くなる。
  • 自分:心拍上昇、手の震え、冷静に考えられない状況になる。

この段階でやること(距離をとる)

  • 半歩だけ下がる、座る、視線を外すなど物理的距離を10〜50cmほど広げる。
  • 5〜15分ほど別室にいく、短い外気浴を行うなど、タイムアウト宣言をとる。

やらないこと

  • 反論の積み増しをする。正しさの証明合戦など。

離れる時間が長すぎると“逃げた”と受け取られやすいため、5〜15分ほどにしましょう。

爆発/侮辱(決めつけ・人格否定・物に当たる)

よくあるサイン

  • 相手:「お前のせい」「いつも」「全部」「出て行け」などの決めつけ語で話す。またテーブルを叩く、ドアを乱暴に閉める、進路を塞ぐなどの行動に出る。

この段階でやること(中断して退避)

  • 「落ち着いてから話しましょう。」など一言だけ宣言して別室や安全な場所へ即退避する。
  • 子どもがいる場合:子どもの手を取り、決めてある避難場所へ移動する。
  • 安全の確保>会話を続ける。安全が脅かされると感じたらすぐに中断して退避しましょう。

やらないこと

  • 売り言葉に買い言葉で返す。身体で押し返したり、嘲笑などの挑発をしたりすること。

解放/後悔(謝る・黙る・なかったことにする)

よくあるサイン

  • 相手:「悪かったって言ってるだろ」とすぐ通常運転に戻したがるまたは、黙り込む、連絡が途絶える、別人のように優しくなるなど。

この段階でやること(“再開条件”を整える)

  • 再開条件を確認:声量を普通の状態に戻す。侮辱はなし。
  • 再発防止の合意を紙に書く:やめる行為・代替行動・再発時のルールを決めるなど。
  • 振り返りは20分で終了させる(ダラダラ続けない)。

やらないこと

  • 全部水に流すこと。問題について話をせず笑顔で上書きして、解決しないままにすること。

役割期待のズレによる暴言の傾向と対策

    • 家事・連絡・段取りを見える化(ToDo・担当表)

    • 先回りの小さなサービス精神(“サービス業を始めた勢い”という比喩の範囲で、挨拶・確認・お礼を増やす)

    • 細かい指摘が多い相手には、掃除・在庫補充・時間連絡など“効く先回り”を一つ試すといった先手の整えが、エスカレートを防ぐ一時的な緩衝材になることがあります。

伝え方のポイント|短く・落ち着いたときに

感情が高ぶっている最中は、話し合いが衝突に変わりやすいもの。そんな時はまず距離をとることが大切です。
そして、落ち着いたタイミングで、短い境界線を伝えてみましょう。

  • 「落ち着いたら、ゆっくり話したいです。」
  • 「時間を取り直しましょう。」

長い説明や説得は、相手の防御を強めます。
シンプルに短い一文を繰り返すほうが相手に届きやすいので、ぜひ心がけてみましょう。

夫の暴言に悩む状態から夫婦関係の修復を目指す10ステップまとめ

  1. 安全の最優先:少しでも危険を感じるなら即退避する。
  2. 孤立しない:あなたが話せると思う方に現状を共有。
  3. 静かな記録習慣:状況に応じてメモ/スクショ/音声/受診などで記録を残す。
  4. 境界線の宣言:短く、繰り返し伝えることがポイント。
  5. 再発防止の合意:やめる行為・代替行動(タイムアウト等)・再発時のルールを定めて残しておくこと。
  6. 1日5分チェックイン:「今日はどうだった?」などの短い会話を継続する。
  7. Iメッセージ:あなたが悪い→私はこう感じた/こうしてくれると嬉しいな。と「I」メッセージを伝えるよう意識する。
  8. 小さな感謝を3つ:ごく小さなことでも言葉にして相手に伝える。継続して行う。
  9. 先回りして回避:旦那からチクチク言われないよう(夫の不満を生まないよう)先回りしてやってみる。
  10. 外部の知恵:友人、夫婦/個人カウンセリングで客観的なアドバイスをもらう。必要なら法律相談を行う。

「夫の暴言」に悩むあなたへ伝えたいこと

夫の暴言を思い出しては胸がざわつく——その再体験が続くのは、心が「いま危険を感じている」サインです。夫の暴言への対処は、夫婦関係の修復を目指す場合でも、将来離婚を視野に入れる場合でも、まずはあなたの心の安全を確保することが最優先。夫の暴言を一人で抱え込む必要はありません。状況が整理できていなくても大丈夫。「いま少し辛い」——そのひと言を、信頼できる相手や相談先に伝えるところから始めましょう。

夫の暴言は、侮辱や否定が繰り返される「言葉の暴力」です。自分を責め続けるよりも、具体的な一歩を積み重ねる方が、結果的に早く出口へ近づきます。今日できる最小の行動を選び、夫の暴言から自分の心身を守る設計に切り替えていきましょう。

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