「妻と離婚したい」と男性側(夫)から相談をいただくケースは少なくありません。
まずは二人で話し合う協議から。感情のぶつけ合いを降りて、妻が離婚に応じない背景にある不安(子ども・お金・住まい・世間・情報差)を先に見える化し、具体策を添えて提案すること。
話がまとまらなければ家庭裁判所の調停へ——第三者が間に入り、静かに道筋を整えます。
それでも折り合えない争点だけが残ったとき、最後の選択が裁判。階段は「協議→調停→裁判」。急がず、淡々と上がれば大丈夫です。
離婚したいけれど、まだ踏ん切りがつかない……。そんなときの対処法についてもお伝えできればと思います。
妻と離婚したい男性からの相談内容
相談①別居から2年経つも妻が離婚に応じない
妻と子どもが深夜まで勉強し、うなる声がつらい。何度もやめてほしいと頼んだが改善せず、私は別居。すでに2年が経ちました。先日、弁護士から内容証明を送ったが返事がありません。これから私はどう動けばいいでしょうか。
カウンセラーからの回答
相手の沈黙で“永遠に”止まることはありません。協議 → 調停(前置) → 訴訟という階段を静かに上がれば、手続きは進みます。そのうえで、あなたがやるべきは「感情戦から降りて、資料と段取りで押す」こと。順番にいきましょう。
相談②妻の機嫌を損ねないよう配慮する生活に疲れた
数年前に起きた妻の体調変化以降、機嫌を損ねないよう配慮する生活が続き、自分の意思や楽しみがわからなくなるほど妻の顔色をうかがう日々になりました。思い切ってその苦しさを伝えたところ、妻からは「あなたにとって私は鬼嫁だったのね……。もうあなたへの信頼はなくなった。今後は必要最低限の業務連絡だけにして」と言われました。
今現在、必要な業務連絡しかしていません。正直、離婚した方が楽だと思っています。私自身が疲弊しすぎて、夫婦関係の修復はもう難しいと思います。
ただ妻は専業主婦なので離婚後の生活が心配で踏み切れずにいます。私はどうすればいいでしょうか。
カウンセラーからの回答
お気持ち、とてもよく伝わってきました。
長い時間をかけて積み重なったすれ違いと、奥さまからの厳しい言葉に、心身ともに疲弊してしまうのは当然のことです。
まず整理したいのは、「離婚か修復か」という二択ではなく、どちらの道を選ぶにしても“後悔の少ない筋道”をどう描くかです。
考えてみていただきたい筋道
1. 感情の整理
奥さまの言葉や態度は確かに辛いですが、「更年期」「生活環境の変化」など背景要因もあります。ケンジさんが「自分の中でどこまで受け止め、どこからは線を引くか」を整理することが第一歩です。
2. 現実面の確認
離婚を選ぶ場合、奥さまの生活費など、感情とは別に現実的なシミュレーションが必要です。
修復を選ぶなら「信頼を取り戻すための行動」や「夫婦で向き合う場(カウンセリング)」が欠かせません。
3. 第三者に伴走してもらう
今の状態のままお一人で判断するのは非常に負担が大きいです。
中立的な立場で整理を手伝ってくれるカウンセラーに相談することで、離婚に進む場合も修復を試みる場合も、後悔の少ない道筋が描けます。
今は「割り切るべきかどうか」でご自身を追い詰めるよりも、 「自分が心身ともに壊れないための支え」を優先してください。
奥さまへの思いやりを忘れていません。 修復の可能性がゼロではない場合も、離婚に進む場合も、その優しさを活かしつつ、どう自分を守るかを考えていきましょう。
妻が離婚に応じない代表的な理由
妻が首を縦に振らない背景には、感情論だけでなく“現実的な不安”が幾つも重なっています。
子どもの生活への影響
妻が離婚に応じない背景には、「私が母でい続けられるのか」という根源的な不安があります。
いちばん大きいのは、子どもに“会えなくなる恐れ”。「面会はあとで決めよう」「状況で柔軟に」は、妻には「子どもを取り上げられるかも」と響きます。
次に、「片親にしてしまう罪悪感」。子どもの日常(登下校・病気時・行事)で穴が空いたり、心に傷を残すのではという怖さがあります。さらに、学校や地域での“説明責任”、実家や親族の視線、経済の見通しが曖昧だと、相手は一歩が踏み出せません。
経済的不安
「この先のお金の流れが見えないこと」です。
養育費・婚姻費用(別居中の生活費の分担)・住まいの家賃や初期費用・就労再開の目処が曖昧なままだと、月々のキャッシュフローが赤字になる恐れが拭えず、ブレーキがかかります。
離婚後の生活がイメージできるよう「数字」と「振込の仕組み」を提示できるといいでしょう。
住居と環境の変化
今の家や地域、子供の学校や保育園といった、築き上げてきた生活基盤を全て失うことへの現実的な恐怖です。
特に経済的な自立が難しい場合、住居の確保や子供の転校はあまりに高いハードルに感じられ、現状維持を選ばざるを得なくなります。
世間体と家族関係
離婚は夫婦だけの問題ではなく、親族、ママ友、職場など、所属するコミュニティとの関係を大きく変えてしまいます
「子供がかわいそう」という親からの圧力や、周囲から孤立することへの不安が、離婚という決断をためらわせる大きな重荷となります。
情報の非対称
財産分与や養育費、法的な手続きなど、知らなければならないことが多すぎることへの強い不安です。
特に家計を夫に任せていた場合、知識不足から「不利な条件で言いくるめられるのではないか」という恐怖と不信感が先に立ち、話し合いのテーブルにつくこと自体を拒否してしまいます。
関係修復への希望(あるいは怒り)
「相手が変わってくれれば、まだやり直せるはず」という過去への情や修復への淡い期待が、現実から目を背けさせます。
一方で、一方的に離婚を切り出されたことへの強い怒りやプライドから、「簡単には応じたくない」という意地が交渉を停滞させることもあります。
心身の要因
更年期症状やメンタルの不調、日々の疲れの蓄積が、心と体のエネルギーを奪い、冷静な判断力を低下させます。
離婚という大きな変化に立ち向かう気力が湧かず、たとえ不満があっても、変化のない「現状維持」が最も楽な選択肢に感じられてしまうケースもあります。
タイミングの不一致
子供の受験や親の介護、仕事の繁忙期など、家庭や自身の重要なライフイベントが重なると、「今は離婚を考えるべき時ではない」という心理が働きます。
目の前の課題を優先することが、離婚問題を先送りにするための正当な理由となってしまいます。
これらはしばしば複合します。したがって妻に離婚に応じてもらうには、説得で押し切るよりも不安の箱を先に並べて具体策を示すことが近道になります。
離婚を真剣に検討すべき妻の特徴
妻側が離婚を拒否する理由は様々ですが、あなたに対して以下のような態度が継続・常態化し、是正の行動が見られない場合は、別居・調停・法的手続きの検討が妥当なラインです。
たとえ更年期症状、メンタル不調などの背景があったとしても、それは決して正当化されるものではありません。
暴力・暴言の常態化
殴る・蹴る等の身体的暴力/「お前・てめえ」などの侮辱語や怒鳴り・物に当たるといった言動が繰り返される。
これは最も分かりやすく、かつ深刻な危険信号です。暴力や暴言が「常態化」している時点で、そこに対等なパートナーシップは存在しません。
継続的なモラルハラスメント
罵倒・見下し・人格否定・過度な当たり散らしが日常化し、相手が我慢しても改善しない(我慢するとエスカレートしやすい)。
目に見える暴力とは異なり、精神的にじわじわと相手を追い詰める行為です。これが日常になると、被害者は「自分が悪いのかもしれない」と錯覚し、正常な判断能力を失っていきます。
夫を“ATM扱い”する
収入や生活費への感謝が皆無で、夫の努力を当然視。家計を不透明に使い込み、カードの浪費や隠し買いがある。
夫を「生活費を稼いでくる装置(ATM)」としか見ておらず、パートナーとしての感謝や敬意が完全に欠落している状態です。
不貞・境界を超える“情的外部依存”
いわゆる不倫だけでなく、「セカンドパートナー」等の情的依存がエスカレートし、家庭への注意義務を欠く状態。
肉体関係の有無にかかわらず、家庭の外にいる特定の個人に精神的な拠り所を求め、夫婦としての信頼関係を破壊する行為です。
家事・育児・家計の“一方的な負担転嫁”
自分は浪費や外出を優先しつつ、夫には過剰な負担や服従を求めるなど、役割・責任のバランスが崩壊している。
夫婦の協力関係が完全に失われ、一方がもう一方を搾取する「支配・被支配」の関係に陥っている状態です。
夫の社会的立場・メンツを破壊する行為
勤務先への執拗な電話、外での過剰な悪評拡散など、夫の社会生活を損なう行動がある。
家庭内の問題を外部に持ち出し、夫の社会的信用やキャリアを意図的に傷つけようとする行為です。
謝罪や是正の“行動”が見られない
指摘や話し合い後も、暴力・暴言・浪費などの“再発”が続き、改善の手がかり(記録・合意・運用)が定着しない。
問題行動を改めてもらうための努力が、全て無に帰す状態です。これは、関係修復への希望を完全に打ち砕きます。
夫の心身に明確な悪影響
不眠・食欲不振・職場での不調など、健康や就労に支障が出るレベルで消耗が進んでいる。
妻との関係がストレスとなり、心身が限界に達していることを示す、最も重要なサインです。我慢の限界を超えています。
長期にわたる“感謝・尊重の欠落”
小遣いだけ厳格、生活費は当然視、「夫=銀行」のような扱いが固定化している。
これまでの項目の根底に共通する、最も本質的な問題です。夫を一人の人間としてではなく、単なる「機能」や「道具」としてしか見ていない姿勢が固定化しています。
離婚の基本の階段:協議 → 調停 → 裁判
協議:感情ではなく「記録と提案」を並べる
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まずは二人で話し合う場を整えます。
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用意するもの:家計・育児の実態、別居の経緯、暴力/暴言の有無などの記録。
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条件のたたき台:財産分与リスト/親権・監護の計画/養育費(算定表で目安)/面会交流の具体案/年金分割。
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合意できたら合意書や公正証書へ。支払い不履行の抑止になります。
調停:第三者に橋渡しを頼む
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協議でまとまらない・連絡が滞る場合は家庭裁判所の調停へ。
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申立て後、調停委員が間に入り、双方別室で静かに整理します。
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合意成立時は「調停調書」に。強制執行力があり、後の揉め直しを防ぎます。
裁判:残った争点だけを法廷で決める
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調停で不成立なら、最後の手段として訴訟。
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法定の離婚事由(不貞・悪意の遺棄・暴力等)や婚姻関係破綻を審理。
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和解または判決が確定すれば、届出と事後手続きへ進みます。
事前に準備しておくといい条件
大切なのは、離婚話を「感情のぶつけ合い」にしないことです。
そのためには、感情を一旦脇に置き、具体的な「事実」と「実行可能な提案」を先に準備しておくことが極めて重要になります。
これは、奥様を論破するためではなく、話し合いの土台を整え、お互いが現実的な未来を描くための、夫としての最後の誠意とも言えます。
財産分与
これは、結婚してから夫婦で協力して築いた財産を公平に分け合うことです。離婚の原因は関係なく、お互いの貢献度に応じて原則として半分ずつ分けます。
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対象: 預貯金、不動産、車、保険(解約返戻金)、有価証券、退職金など。
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準備: 夫婦の財産がどれだけあるか、一覧リストを作成しておくといいでしょう。
親権・監護
お子さんがいらっしゃる場合、これが最も重要で、最も慎重な準備を要する項目です。ここで絶対に見失ってはいけないのは、「子供の幸せと健やかな成長」を最優先するという視点です。
「親権が欲しい」という自分の希望だけでなく、子供の生活を具体的にどう支えていくのか、「実行可能な計画」を提示することが、あなたの親としての覚悟を示すことにつながります。
養育費
「いくら払えばいいだろう」と曖昧にするのはNGです。
家庭裁判所が公表している「養育費算定表」に基づき、お互いの収入から客観的な金額を算出しましょう。
その上で、「子供の進学のために、大学卒業まで支払う」「習い事の費用は別途協議する」など、前向きな提案を添えることで、子供を想う気持ちが伝わります。
面会交流
「会いたい時に会う」では必ず揉めます。「毎月第2・第4土曜日の午前10時から午後5時まで」「夏休みや冬休みには宿泊を伴う交流を行う」など、誰が読んでも分かる具体的なルールを提案してください。
これは、離婚後もあなたが「父親」であり続けるという強い意志の表れであり、奥様の「一人で育てていけるだろうか」という不安を和らげる効果も期待できます。
年金分割
婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、夫婦間で分割する制度です。
これにより、専業主婦(主夫)だった側なども、将来受け取る年金額を増やすことができます。
慰謝料
不倫(不貞行為)やDV(暴力)など、離婚の原因を作った側が、精神的苦痛を与えた相手に支払う「損害賠償」のことです。性格の不一致など、どちらか一方に責任がない場合は基本的に発生しません。必要な場合には準備を進めておきましょう。
離婚に踏み切れない場合は別居という選択肢も
「もう一緒に暮らすのは限界。でも、すぐに離婚を決断できない…」
夫婦関係に悩み、心身ともに疲れ果ててしまうと、冷静な判断は難しくなります。そんな時、一度物理的に距離を置く「別居」は、“逃げ”ではなく、お互いの未来のために必要な“環境調整”となり得ます。
最後に|目的は“勝つ”ことではなく“後悔を減らす”こと
静かに、淡々と階段を上がるように、まずは協議で土台を整え、まとまらなければ調停で第三者の支えを得て、それでも残った争点だけを裁判で決めていきましょう。
優しさは手放さずに、自分と子どもの暮らしを守る段取りを先に整える—その姿勢さえあれば、焦らなくても大丈夫です。ひとつずつ、一歩ずつ、前に進めます。
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