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裁判離婚

(1)裁判離婚の流れ

離婚の話し合い

協議が不成立

家庭裁判所への調停の申し立て

調停での話し合い

調停不成立

訴状提起
※通常弁護士に依頼

判決
※敗訴したほうが控訴しない場合

役所へ判決正本と確定証明書を提出

離婚成立
調停が不成立で終了した場合、夫婦の一方は家庭裁判所に離婚の訴えを起こします。 訴えを起こす方が原告、その相手方を被告と言います。
調停前置主義が原則ですが、

  • ・ 被告が生死不明や行方不明
  • ・ 被告が心神喪失などの状態
  • ・ 家庭裁判所が調停では協議できないと判断した場合

については調停を行わずして裁判ができます。

(2)裁判離婚の方法─訴状の作成と費用

離婚の申し立てをするには、夫婦の戸籍謄本を一通、離婚を要求する内容の訴状を二通(裁判所保管の正本一通、被告に郵送する副本一通)を作成したものを添付し、家庭裁判所の人事訴訟付係に提出します。 訴状には収入印紙と郵便切手を添えます。 収入印紙の金額は、
  • ・ 離婚だけの訴え:13,000円分
  • ・ 離婚の他、金銭の支払いも訴える:13,000円分+請求金額に応じて増額となります。

肝心の訴状は、弁護士に詳しく事情を説明して、適切な内容の訴状を作成して貰いましょう。 離婚の訴えを起こす裁判所は、
  • ・ 夫婦が共通の住所を持つときは、その住所を管轄する家庭裁判所
  • ・ 夫婦が最後の共通の住所を持った場所の管轄区域内に、夫婦の一方が所在地を持つときは、
    その住所を管轄する家庭裁判所
  • ・ 夫婦どちらかの現在の住所を管轄する家庭裁判所

です。

(3)離婚原因が必要

協議離婚、調停離婚では、離婚を求めることに法律で定める特別な原因や理由は要りません。しかし、裁判離婚の場合は被告となる夫婦の一方に、法律上の一定の原因が要求されます。

<離婚原因>

  • ◇ 不貞行為があったとき 配偶者以外の人と性的関係を持つことをいいます。
  • ◇ 悪意で遺棄したとき 故意に同居や夫婦生活の協力を拒否したり、扶養義務を怠ることをいいます。例えば一方が愛人と生活を共にし、一方のもとに戻らないなどの場合は、別居期間中生活費を送金しないという場合がこれに相当します。
  • ◇ 3年以上生死不明のとき 最期に生きていることの確認ができたときから三年以上経過し、現在もなお生死が不明であることをいいます。単に住所がわからないといった行方不明の場合はこれに相当しません。
  • ◇ 強度の精神病より、回復の余地がない場合、夫婦における共同生活で相互の役割や協力を果たすことができないほどの精神障害のことをいいます。専門の医師の鑑定による医学的な判断と、裁判所の法律的な判断によります。
  • ◇ その他、婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
  • (4)裁判の形式と和解勧告

    裁判所へ訴状を提出すると、裁判所から第一回口頭弁論期日が指定されます。被告には裁判所から被告に訴状の副本と期日の呼出状が特別送達という形で郵送されます。 口頭弁論期日では、まず原告本人、被告本人、証人への尋問と書類の証拠調べが行われます。
    裁判が進行する段階で、裁判所は判決による解決ではなく、話し合いによる解決をすすめることがあります。
    これを「和解勧告」といいます。和解が成立した場合、和解調書が作成され離婚が認められます。

    (5)公示送達

    相手方の行方がわからないとき、調停をせず家庭裁判所に離婚の裁判を起こすことができます。通常は、被告である相手方に裁判所から訴状の副本と期日呼出状が送達されます。
    だが、行方がわからない場合は、裁判所にある掲示板により、一定の書類を掲示し、被告への送達とする方法をとるのです。これを公示送達といいます。公示送達の申立書を裁判所に提出し手続きを行います。
    掲示板に書類を公開後、2週間が経過すると、被告に送達されたとされ、裁判を進めることが可能になります。
    第1回口頭弁論期日に、被告が出頭してくることはまずあり得ません。この場合、欠席判決といって通常の民事裁判であれば原告の全面勝訴の判決が出ます。
    しかし、離婚裁判の場合は、原告の言い分に間違いがないか証拠調べを行ってから判決が出されます。

    (6)調停における弁護士への依頼は必要か?

    (6)弁護士依頼─選び方・費用 人間関係には相性というものがあります。依頼人と弁護士の関係も同様のことがいえます。 特定の人が、あの弁護士はいい弁護士だと言っても、必ずしも自分にとっていい弁護士であるとは限りません。 弁護士がいい仕事をするためには、依頼人との信頼関係が何より大切だといいます。
    まずは相談に行き、その相談内容についての意見、対策や方針についてどんな見解を示してくれるか見てみます。この弁護士ならと信頼できそうならば、そこで決めてもいいでしょう。
    できれば、もう一人か二人の弁護士に相談してみて、
    • ・ よく話を聴き細かい部分まで理解してくれる
    • ・ 法律の意味や内容、解決策を丁寧に説明してくれる
    • ・ 依頼人の不利な点も指摘してくれる
    などについてチェックして、選ぶといいでしょう。
    費用につきましては、従来は弁護士の『弁護士報酬規権』という規定がありましたが、平成14年に撤廃され、原則的に各弁護士が自由に決定しても良いこととなりました。 しかし、その後も従前の『弁護士報酬規権』に準ずる基準で費用を決定している弁護士が相当数います。 従来の『弁護士報酬規権』に準じる規定に依った場合、弁護士費用は概ね以下の金額となります(いずれも消費税別)。

    <弁護士費用>

    • ◇ 離婚について弁護士に相談するとき
      30分ごとに5,000~25,000円の範囲内
    • ◇ 協議離婚合意書などの書類作成費用
      財産分与や慰謝料の額によるが、5万~30万円の範囲内
    • ◇ 離婚調停の代理人として依頼するとき
      着手金として、20万~50万円財産分与や慰謝料の請求もあるときは、請求金額に応じて加算される。
    • ◇ 調停成立のとき
      少なくとも着手金と同額の範囲で「報酬金」がかかります。
    • ◇ 調停不成立となって、離婚裁判を起こすとき
      調停段階から依頼している場合は、裁判の着手金として、追加で15万~30万円。また初めて依頼する場合は、調停代理人として依頼との同様
    • ◇ 裁判で勝訴したとき
      少なくとも30万~60万円の範囲内での「報酬金」財産分与によや慰謝料が優徳できた場合は、獲得金額に応じて加算される
    なお、弁護士費用のない人のために、。日本司法支援センター(通称:法テラス)による、弁護士費用立替払い制度があります。最寄りの法テラスに問い合わせて下さい。

    (7)弁護士依頼の際の注意点

    弁護士に依頼する際、最も大切なのは全てを包み隠さず話すことです。嘘などもっての他です。相手に対して開示しない方がいいことでも、自分の依頼した弁護士においては話しておかなければいけません。 弁護士は、依頼人にとって不利なことは決してしません。ただ、夫婦生活における隠された事柄が問題点になった場合、弁護士は裁判での席上で初めてそれを聞いたでは片づけられない。 そのせいで裁判の形勢が不利になってしまうこともあるでしょう。
    弁護士は、依頼人の秘密は外部に漏らしてはいけないという義務を負っています。ですから、安心して全てを話して、依頼人にとって最善の結果が出るようにしたいものです。

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