「なぜ、長年連れ添った夫婦が離婚を選ぶのだろう?」
近年、“熟年離婚”と呼ばれる50代〜60代以降の離婚が増加しています。
その背景には、日々のすれ違いや価値観のズレ、将来への不安が隠れています。
本記事では、熟年離婚に至る主な原因を整理し、後悔しないために今からできる対策を解説します。
離婚を避けたい人も、考えている人も、冷静に判断するための指針になるはずです。
1、熟年離婚に至る主な原因5つ

熟年離婚に至る主な原因は、以下の5つです。
- ・価値観や生活リズムのズレ
- ・コミュニケーション不足
- ・家事・介護の負担の偏り
- ・お金・将来設計の不安
- ・浮気・裏切り
以下で詳しく解説を行います。
また、熟年離婚を切り出される夫の特徴については、こちらの記事にまとめています。
(1)価値観や生活リズムのズレ
熟年離婚の大きな引き金のひとつが「価値観や生活スタイルの違い」です。
結婚当初は「多少の違いも仕方ない」と折り合いをつけられた夫婦でも、子育てが終わり、定年を迎えたあとにそのズレが一気に表面化します。
例えば、
- ・夫は「家でゆっくりテレビを見たい」
- ・妻は「旅行や趣味を楽しみたい」
というように、時間の使い方やお金の使い道が大きく食い違うケースは非常に多いのです。
また、老後の暮らしをどこで過ごすか(田舎に帰りたい vs 都市で暮らしたい)という住環境の違いも、すれ違いを深める要因になります。
「この人と一緒にいても、これからの未来が描けない」――そんな感情が積み重なり、離婚という選択肢が現実味を帯びてきます。
(2)コミュニケーション不足
「会話が減った」「話しかけても反応が薄い」という状況は、熟年夫婦に少なくありません。
特に長年連れ添うと、相手の話を「聞いているつもり」でも実は耳を通り過ぎているだけ、ということがあります。
妻が「今日は疲れた」と言っても、夫が「そうか」とだけ答えて終わる――
これが日常的に繰り返されると、妻は次第に「理解されていない」「私は一人なんだ」と感じるようになります。
さらに、定年退職後は一日の大半を同じ空間で過ごすようになるため、わずかな会話不足が大きな孤独感へと直結しやすくなります。
会話がない時間が続くことは、単なる沈黙以上に、夫婦の関係性を冷え込ませる原因となるのです。
(3)家事・介護の負担の偏り
熟年離婚を決意する妻の多くが口にするのが、「夫が家庭のことを全く手伝ってくれない」という不満です。
特に介護が始まる年代に差しかかると、負担の偏りが顕著になります。
妻が親や義両親の介護を担いながらも、夫は「俺には関係ない」と無関心でいる――こうした態度が、妻にとっては大きな絶望となります。
また、共働き世代が増えたことで、妻も長年仕事と家事を両立してきた背景があります。
「ずっと私ばかりに負担がかかっている」という感覚は、熟年期に爆発しやすいのです。
家事や介護の不公平感は、単なる“作業”の問題ではなく、「私の努力を見てくれていない」という心理的な不満に直結します。
(4)お金・将来設計の不安
老後資金の問題も熟年離婚の大きな要因です。
たとえば、
- ・年金だけで生活できるのか
- ・老後の医療費や介護費用はどうするのか
- ・家計の収支を夫が一切共有してくれない
こうした「お金に関する不透明さ」は、妻の将来への不安を膨らませます。
また、夫が浪費癖を持っていたり、定年後に無計画な出費を続けたりする場合、妻は「この人と一緒では安心して暮らせない」と強く感じるようになります。
「お金の心配が尽きない生活」こそ、妻が離婚を選ぶ決定打となるのです。
(5)浮気・裏切り
長年の信頼を一瞬で壊すのが、浮気や裏切りです。
若い頃なら「子どもがいるから」と離婚を思いとどまった妻も、子育てが終わったタイミングで「これ以上、この人と一緒にいる意味はない」と決断することがあります。
SNSやスマホの普及により、熟年層でも不倫のきっかけが増えているとも言われています。
夫の浮気が発覚したとき、妻は「長年の我慢は何だったのか」と感じ、残りの人生を別の道で歩む決意を固めるのです。
浮気そのものだけでなく、裏切りに対する“心の傷”が癒えないことが、熟年離婚を後押しする大きな要因となっています。
2、熟年離婚を避けるためにできる4つの対策

熟年離婚を回避するためにできる4つの対策は、以下の通りです。
- ・「聞く力」を育てる
- ・「ありがとう」を言葉にする
- ・役割を分担し、自ら動く
- ・カウンセリングや夫婦講座の活用
以下で詳しく解説を行います。
(1)「聞く力」を育てる
夫婦関係において、もっとも大切なのは「話すこと」よりも「聞くこと」です。
妻が話しかけてきたとき、テレビやスマホを見ながら「うん」と返すだけでは、聞いているつもりでも伝わりません。
大切なのは、以下の3つ。
- ・相槌を打つ
- ・妻の言葉を繰り返して確認する
- ・目を見て話を聞く
上記のような基本的な態度が、一番重要なのです。
これだけで「ちゃんと聞いてくれている」という安心感を与えられます。
「共感してくれた」と妻が感じることで、孤独感は大きく和らぎ、夫婦の会話が自然と増えていきます。
(2)「ありがとう」を言葉にする
長年連れ添った夫婦ほど、省略されがちなのが「ありがとう」という感謝の言葉です。
「言わなくても分かるだろう」と考えがちですが、実際には言葉にしなければ伝わりません。
例えば、
- ・食事を作ってくれたとき
- ・洗濯や掃除をしてくれたとき
- ・ちょっとした気遣いをしてくれたとき
どんなに小さなことでも「ありがとう」「助かったよ」と声に出すことが大切です。
日常の中で感謝があるかどうかは、妻が「自分は大切にされている」と実感できるかどうかに直結します。
感謝の積み重ねは、熟年離婚の大きな抑止力になるのです。
(3)役割を分担し、自ら動く
「家事や介護は妻の仕事」という考え方は、今や熟年離婚の大きな引き金になります。
特に大事なのは「頼まれたらやる」ではなく、「頼まれる前に動く」姿勢です。
例えば、
- ・ゴミをまとめて出す
- ・食後の食器を洗う
- ・買い物に付き合う
- ・親の介護に積極的に関わる
といった小さな行動を積み重ねることで、「この人となら老後も一緒にやっていける」と妻が感じられるようになります。
夫が“自分の役割”を持つことは、妻の精神的な負担を軽くし、信頼関係の再構築につながります。
(4)カウンセリングや夫婦講座の活用
「どうしても話が噛み合わない」「関係がこじれてしまった」という場合は、第三者のサポートを受けるのも有効です。
離婚カウンセリングや夫婦関係改善の講座では、以下のポイントに重きを置いてカウンセリングを行います。
- ・感情を整理する
- ・お互いの意見のズレを翻訳する
- ・コミュニケーションのトレーニングを行う
プロの介入があることで、「自分の気持ちが理解された」「相手の本音を知ることができた」と関係が改善するケースも少なくありません。
一度でも参加するだけで、夫婦の会話の質が変わるきっかけになることも多いのです。
対策はいずれも「すぐにできる小さな行動」ですが、その効果は想像以上に大きいです。
離婚を回避するカギは、特別なことではなく「日々の積み重ね」にあるのです。
3、 熟年離婚とは?定義と増加の背景
“熟年離婚”とは、結婚生活20年以上の夫婦、特に50代〜60代以降での離婚を指します。
厚生労働省の統計では、離婚全体の約2割がこの層で占められ、近年も増加傾向に。
その背景には以下があります。
- ・女性の経済的自立(専業主婦から共働きへの変化)
- ・「老後は自分らしく」という価値観の浸透
- ・子どもの独立による生活の変化
「これからの人生は自分のために生きたい」――
そう考えて、子育てが終わったタイミングで離婚を選ぶ妻が増えているのです。
5、離婚を選ばざるを得ない場合の準備
「できれば離婚は避けたい」――そう思っていても、どうしても関係の修復が難しい場合もあります。
そのときに大切なのは、感情の勢いで進めるのではなく、正しい知識を持ち、冷静に準備することです。
ここでは、離婚を選ばざるを得ないときに押さえておきたい3つのポイントを解説します。
(1)財産分与・年金分割の理解
熟年離婚で最も大きな課題の一つが「お金の問題」です。
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、たとえ名義が夫であっても、妻には分け合う権利があります。
- ・預貯金や株式などの金融資産
- ・住宅や土地などの不動産
- ・退職金(退職予定を含む)
これらは「共有財産」とされ、原則として公平に分けることになります。
また、特に重要なのが 年金分割 です。
夫が厚生年金に加入していた場合、婚姻期間中に形成された年金額の一部を妻が受け取ることができます。
離婚後の生活に直結する部分ですから、「知らなかった」では済まされません。
事前に年金事務所に相談したり、分割額のシミュレーションを行っておくと安心です。
(2)離婚の方法を知る
離婚の進め方には大きく3つの方法があります。
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種類 |
方法・特徴 |
メリット |
デメリット |
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協議離婚 |
夫婦で話し合い、役所に離婚届を提出する方法 |
手続きがシンプルで費用がかからない |
話し合いがまとまらないと成立しない |
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調停離婚 |
家庭裁判所で調停委員を介して話し合う |
第三者が間に入り冷静に話しやすい |
時間や一定の手間がかかる |
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裁判離婚 |
裁判で最終的に判決を下してもらう |
最終的な決着をつけられる |
時間と費用がかかる |
自分の状況に合った方法を見極めることが大切です。
感情的に「今すぐ離婚したい」と突き進むのではなく、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、最適なプロセスを選びましょう。
(3)支援制度や相談先を頼る
離婚は人生の大きな転換点。
孤独や不安を抱え込むと、精神的に追い詰められてしまいます。
そんなときは、一人で抱え込まず、支援制度や相談窓口を積極的に利用しましょう。
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支援先 |
内容・特徴 |
メリット |
注意点 |
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自治体の相談窓口 |
生活支援・住宅・就労支援などを紹介 |
公的サービスなので安心・幅広い支援につながる |
窓口によって対応範囲が異なる |
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弁護士会の無料相談 |
初回無料で財産分与・慰謝料など法的疑問を解消 |
専門的な法的アドバイスを受けられる |
無料相談は時間や回数に制限がある場合あり |
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離婚カウンセリング機関 |
専門家と気持ちを整理し新生活を考える |
心理的サポートで前向きに準備できる |
費用がかかる場合がある |
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地域のNPO・男女共同参画センター |
子育て・生活支援・コミュニティづくりをサポート |
地域に根ざした支援や交流の場がある |
サービス内容は地域差が大きい |
離婚は「終わり」ではなく「新しい生活のスタート」です。
支援を受けながら社会とのつながりを保ち、孤立しないことが、次の人生を安定して歩むための大切な準備になります。
6.一人で決める前に離婚問題の専門家に相談がおすすめ
離婚を避けたいときも、進めたいときも、専門家のサポートは心強い味方になります。
一人で悩んでいると視野が狭くなり、感情的に判断してしまうことも少なくありません。
だからこそ、第三者に相談することで、冷静に選択肢を整理できるのです。
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専門家・機関 |
内容・特徴 |
メリット |
注意点 |
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離婚カウンセラー |
気持ちの整理や今後の方向性を一緒に考える |
心理的サポートを得られ前向きに考えやすい |
法的な手続きの相談には対応できない |
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弁護士 |
財産分与・年金分割など法的手続きや権利を具体的にアドバイス |
専門的で正確な法的助言を受けられる |
相談料・依頼料が発生する |
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夫婦セラピー |
関係修復を望む場合に夫婦間のコミュニケーションをサポート |
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離婚を前提とする場合には不向き |
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まとめ
熟年離婚の原因は、価値観のズレや会話不足といった「小さな積み重ね」です。
しかし、感謝を伝える・聞く姿勢を持つ・役割を分担する――。
これらを意識することで、未来を大きく変えることは可能です。
どうしても避けられない場合でも、準備と相談を怠らなければ後悔は減らせます。
熟年離婚はゴールではなく、人生の選択肢の一つ。
だからこそ、冷静に一歩を踏み出しましょう。
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